RECRUIT
介護業界を取り巻く環境について教えてください
現在の日本の制度では、4年に一度介護制度改革が行われています。それに合わせて運営方法も変えていくことが日本の介護施設の前提になりますね。施設に入所されている利用者様を第一に、次に法人で働いている職員を守り、コスト面のことも考えて運営方法を考えて進めています。施設長の加藤とはよく話し合っているよね。
そうですね。私は今、名古屋の介護施設のまとめ役として、行政の制度への対策や新しい施設の立ち上げの際のやりとりを主にしています。
最初の施設の立ち上げから16の施設を加藤と一緒にやってきました。本当に、11年間よく一緒にやって来てくれたなあと感謝しています。
1件目の立ち上げの時と、今ではどう違いますか?
最初の施設を立ち上げた時は、グループホームでも入居待ちの方がいました。しかし今は、様々な施設ができたり制度が変わったりして、施設を埋めることの方が大変です。需要と供給が10数年で逆転してしまったんですね。 ただ、これは愛知県内での話しで、岐阜県だとまた状況は違います。 利用者様のためにも選ばれる施設づくりをしないといけないなと日々改善しております。
現場で働いている立場からすると、介護業界と医療業界って、縦社会でほとんど連携が取れていないのが現状です。連携の必要性が重視されている一方で、実際はなかなか連携が取りづらい。医療業界の受け皿として福祉業界があり、最後は看取りをする、それが本来あるべき姿だと思うんです。需要と供給の話でいうと、今まで高齢者だけが入る施設としてのイメージが強かった介護施設が、医療依存度が高い方が増えて来ているのでターミナルケアの必要な方の受け皿も必要になって来ています。
色々難しい話から始まってしまったけれども、私たちは日々日本の福祉、医療のことを横断的に考えて運営をしています。 これからも、ターミナルケアの話のように新しい需要が生まれていても、きっと悠山会の施設なら気持ちよく過ごしていただける。そういう自負を持っています。今までも社会からの需要に合わせて施設が増えてきたり、運営方法を変えたりしながら利用者様のことを第一に考えてチャレンジしていきたいですね。
理事と加藤さんの思う、悠山会の立ち位置とは?
加藤とは11年一緒に運営をやって来ていますが、加藤は良い意味で、唯一私に意見してくれる存在でした笑
そ、そんなことないですよ笑
私はワンマンなところがあるので、やりたい!と思ったことにどんどん走っていくんです。その時に、「待って!」と言ってうまく調整をしてくれるのが、加藤でした。 私は加藤の理念を尊重しているし、信頼して任せています。
介護を初めて21年になりますが、始めた当時と今では私の理念も大きく変わったんです。それは、初めに勤めていた施設から悠山会に移った際、理事が自由にやらせてくれたから培われた理念なんです。
自由にやれとは言っていないけど、自由にやっていたのよ。それだけ、あなたの中の思いが強かったんでしょう。
そうかもしれません。悠山会に来るまでは、療養型の施設で勤務していました。いつも時間に追われて、もっと一人ひとりに時間をかけて関わりたい、そう思っていたときに悠山会のグループホームのことを知りました。3対1のケアでもっと色々なことをしてあげられる…!そういう大きな希望があったんです。
でも、介護の難しいところね。手を出してあげればいい、やってあげればいい、ってものでもない。
そうなんです。やってあげたい気持ちが強かったあまりに、やりすぎてしまった。それが利用者様の「やりたい」という気持ちを抑制してしまっていたかもしれません。
その頃、グループホームだけでなく、様々な形態の施設を設立し始めていました。サービス付き賃貸住宅、デイサービスなどです。
施設が増えて、様々な状態の利用者様と関わり始めました。そうすると、その施設に合った方がそれぞれいることに気づいたんです。全ての施設で同じ対応をしていてはいけない、と気づきました。それからは毎日刺激が強くて、私たちが何かしてあげてるのではなくて、利用者様に「教えてもらっている」と思う日々に変わりました。そうしたら、「やってあげていた」今までがなんて押し付けがましいんだろうと思って。これは、住宅の管理をするようになって更に思うようになりました。
「ほったらかし」と「見守り」の違いに気づいたということかな?
そうなんです。昔何かで読んだのですが、「ほったらかし」と「見守り」は違う。ほったらかしは介護ではないんです。手の届く範囲で、やりすぎることなく、見守る。それって、特に住宅での介護では本当に必要とされていることなんです。私は、できればそういうお元気な方が少し私たちの手を借りて生活をしていける、楽しい時間をできるだけ長く持っていただく、そういう暮らしができる施設にしていきたいなあ、と思います。介護業界で20年働いて自分の介護理念の変わったところはここですね。
一番初めにグループホームを建てたのは、一番取り組みやすい施設と判断したからです。それでも、初年度は苦労の連続でした。なかなか入居者も集まらず…。少しずつ悠山会のことを知ってくださる方も増えてきて、利用者様が増えると、今度は新しい需要の存在に気づきました。認知症の方の受け入れについてのご相談が増えたんです。グループホームでは、対応しきれない認知症の症状の方の受け入れ先として、新しい施設を建てたい、そう加藤に相談しました。
その時は、まだ専門の職員の数も少なく、不安でしたが…
でも、建てたんです。そうすると、当然、今までいなかった分野の利用者様が増えます。グループ内の他の施設から職員がやってきてスキルを身につけていきました。このように、ドクターや利用者様からの相談を受けて、必要な施設を増やして行ったんです。 需要に対して、私は「誰がやるの?私しかいないじゃない!」という情熱というか、想いがありましたね。
未だに、その想いはとてもお強いですよ。笑
そうですね。今でも。少しでもその方が人のためになる、と思えるものには走っていきます。
私は、理事が考えていることを頭の中で考えてみて「いや、ちょっと無理だよ」と思うこともたくさんあります。でも一方で、「これをやり遂げたら10年後、20年後の悠山会、介護業界、社会がどう変わるんだろう?」そう思うと前向きに希望を持てるんです。理事からポジティブな感情を分けてもらっています。
後ろは振り向かないもの!
理事は止まらない方なんです。もし、ダメだったとしても次どうするかをすぐに考えられる方。そういった点で、理事の下で働く者としてはいつも不安は感じなくて、信頼して働いている実感があります。次やることをどうするか、先を見ていくようになりました。
理事は施設の展開についてはどう思われていますか?
実は、私が自分でやりたい!と言って立ち上げることになった施設は、ファミリア植田・グランドファミリア赤池だけなんです。他の施設を始めることになったきっかけは、他法人で運営していた施設を閉められるということで引き受けたりしていたんです。運営している施設に見学にいらっしゃる方とめぐり会っていく中で、「こういった症状の方の受け入れはできませんか?」と相談を受けます。
下呂の施設も、下呂市から悠山会に依頼があり、引き受けることになったんです。当時下呂にはグループホームがなく、行政の方々や地域の方も、渇望されている状態でした。
多方面から情報・依頼が来ている中で、自分がその場所でどんな施設を運営したいかイメージができる施設だけを任せていただき、ここまで数が増えてきました。
これをやったら誰かが喜ぶ、そう思ったら進むんです。
立ち上げ時には、確かに人材不足はあります。でも、動き出すことでその施設に合った良いスタッフが入ってくれる、育ってくれる、そうなれば悠山会はどんどん良い集団になれる。そういう想いで進んでいます。
今は16施設ありますが、
これからは増やしていくおつもりですか?
これは、これからの世代がどう出るか、ですね。もし挑戦するのであれば、全力で支援しますよ。 今の悠山会は、壮年・中年・青年の世代が揃っていますから笑 3世代の知恵がそれぞれ加われば本当に強いと思います。実行力・活動力のある若い世代、そういう力をもった青年・中年代がこれからどう動いていくかを壮年代の私たちは全力でサポートするつもりです。
施設の数については大きなこだわりはないのですが、人材の面で思うことがあります。施設を建てたい、施設長をしたい、そういう職員が増えていくことはとても嬉しいことです。ただ、なかなか自主的に動こう、という方が少ないのが現実です。発言力はあるのですが、実行力にまで結びついていないのが今の若い世代の課題だと思うんです。実行力のある方が、ダメ元でもやってみる、それが許されるのが悠山会なんです。
そうですよ。最後はちゃんと私が責任をとりますから。やりたいことをやってください。
そこを若手にも推すんです。私もダメだったことはたくさんあります。そうやって失敗しないと成長できないんです。自分で実行できない人は成長できないんです。 そこを乗り越えて、挑戦して、失敗して、施設長になってくれる方が出てくるのは本当に嬉しいことです。若い戦力がそうやって引っ張っていってくれると、より活力のある法人になるのではと思っています。
例えば若手が自分の地元に施設を建てたい、と思った場合、どこまで施設長としての裁量があるんでしょうか?
今の若手にも「施設を持ちたい」と思っている方はいると思いますが、一方で施設長という社会的責任の大きさに躊躇される方が多いと思っています。また、交渉ごとは私が得意なのでこちらでやっています。いざ施設を建てたあと、「悠山会の制度」という括りにとらわれる必要は全くないと思っています。一方で、施設に入所されている利用者様は、それぞれが全く異なるひとりの人間です。私たちは人間対人間のサービスを提供していますので、施設ごとに内容・対応が違って当たり前です。法人から指示が出ていることでも、施設によっては適切でないこともあります。そういった場合には、合同会議の場を設けて他施設と共有しています。そうすることで、他の施設とも学び合いができます。 やりたいことを止めることは絶対にしたくありません。その方にも後悔が残りますから。加藤も、独立しているようなものですよ。笑
自由にさせていただいています。笑
私は自由という言葉はマイナスだと思いません。加藤が考えていることがいいことだと思うから、他の施設長にも共有して意見を集める。それを踏まえて運営しています。加藤でなく、他の方でも同じですよ。でも、そういった方がもっともっと増えてほしいな、と思っています。
今後の展望と、どういった人に入っていただきたいですか?
どんな人にもいいところがあって、苦手なこともある。そこを他の人が補えるから成り立っている。そこで大事になってくるのが、「できないこと」が何か自覚できて自己分析できる人かどうかです。
ヘルパー2級の講義でも習いますが、「自己覚知」という言葉があります。己を知り、助けて、としっかり周りにいう能力を育てていくことが大事ですね。
ハードの問題ではなく、職員のマンパワーが大事だと思うんです。仮に建物に気に入らない箇所があっても、見学に来た方が「ここの職員さんがいいから、ここの施設にしたい」そう思ってもらえるような魅力が必要だと思うんです。悠山会を人が魅力の組織にしていきたい。そうすれば、今よりもっと声をかけていただきやすくなるし、悠山会からの発信もしやすくなります。 コミュニケーションが取りにくい世の中になってきているので、そういったコミュニケーション能力に長けた方が世の中を作っていくのかな、と思います。
その通りですね。そういったマンパワーに優れた人材を育てて、世の中に送り出していくのが私たちの思いであり、悠山会の使命です。 悠山会で働いているスタッフはどこへ行っても通用する人材になっていると胸を張って言えますよ。